| ■夜よ、こんにちは |
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Buongiorno,Notte/Good Morning, Night
2003年/イタリア
監督・脚本:マルコ・ベロッキオ(『ポケットの中の握り拳』『肉体の悪魔』『母の微笑』)
出演:マヤ・サンサ(『輝ける青春』)、ルイジ・ロカーショ(『輝ける青春』)、ロベルト・ヘルリツカ(『蝶の夢』、ジョルジョ・ベロッキオ
配給:ビターズ・エンド
上映時間:105分
公開:4月29日(祝)、ユーロスペースにてロードショー |
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| ■ストーリー |
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1978年、ローマ。キアラは、フィアンセと共に新しいアパートに移ってきた。平凡な夫婦を装う二人の新居には、ある秘密があった。実はその一室は極左集団『赤い旅団』の組織がモロ元首相を誘拐し、監禁するための部屋だったのだ。
キアラは仲間と共にモロ元首相を監視しながらも、刻一刻と変化する政局の状況の中で焦り、気持ちが揺れ動く。イタリア最大の歴史的事件といわれるモロ元首相誘拐暗殺事件を、史実と虚構を織り交ぜ、『赤い旅団』女性メンバーの視点で描く。 |
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| ■レヴュー |
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監禁されたモロ元首相のカバンの中にシナリオが入っている。これは実行犯の証言に基づくと、本当のことらしい。内容に関しては不明だが、なぜアルド・モロがシナリオを鞄に潜めていたのか不思議なところだ。マルコ・ベロッキオ監督はそれをヒントにして、エミリー・ディキンソンの詩を文字った『夜よ、こんにちは』というタイトルをつけ、劇中にこのシナリオを書いた青年を登場させる。勤め先の図書館で、キアラと対峙するこの青年は、つまりは監督の分身であり、映画自体が監督個人とテロリストとの対話である事を物語っている。
以前ここで紹介した『輝ける青春』を観た人には説明はいらないと思うが、この時代、イタリアは激動の政治の季節を迎えていた。(主演のルイジ・ロ・カージョがこの映画ではテロリスト役なのが面白い)高い失業率、極右、極左によるテロリズム、社会不安。アルド・モロはキリスト教民主党の総裁で、首相を5回経験し、次期大統領候補の一人としても名を馳せていた。彼の最大の仕事は不安定な政権基盤のために、保守党ながら共産党と手を組み、挙国一致体制を作り上げたことだ。モロの姿勢と共産党の路線変更に、極左勢力は苛立と反発を強めた。そして、事件は起きた。
虚構と史実を織り交ぜ、緊張感あるドラマをみせながら、TV映像、あるいはロッセリーニの『戦火のかなた』を引用し、事件の背景やその意味、本質をさらりとあぶり出す。その軽やかさの中に、巨匠監督の美意識と厳格なスタイルを見る。
ラストシーン、モロが解放されて、朝の街を歩くシーンは、一瞬、狐につままれたような気分になるが、とても感動的だ。あり得たかもしれない可能性。それはキアラの願望、良心を描いたシーンだとも、言える。
イデオロギーに没頭するあまり、人間性を喪失していくテロストたち。過去の事を描いていながら、現在も進行中の悲劇とオーバーラップする。『輝ける青春』も共通するテーマ性をもっていたが、それに比べると随分クールで理性的な描き方だと思う。 (カネコマサアキ★★★★)
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| ■関連事項 |
第66回ヴェネチア国際映画祭特別個人貢献賞
第16回ヨーロピアン・フィルム・アワード最優秀批評家連盟賞 |