■ブレイキング・ニュース/大事件
2004年/香港=中国
監督:ジョニー・トー(『ザ・ミッション/非常の掟』『PTU』)
出演:ケリー・チャン(『インファナル・アフェア』『世界の涯てに』)、リッチー・レン(『シルバーホーク』『ゴージャス』)、ニック・チョン(『決戦・紫禁城』『検死官コップ』)、ラム・シュー(『ザ・ミッション/非常の掟』『カンフーハッスル』)、サイモン・ヤム(『ザ・ミッション/非常の掟』『トゥームレイダー2』)
配給:タキコーポレーション
上映時間:91分
公開:12月3日よりシアターN渋谷、新宿武蔵野館、ほか
公式HP:http://www.breakingnews.jp
■ストーリー
香港の市街地で、大陸からやって来た武装強盗団グループと警察との銃撃戦が繰り広げられた。しかし熱血刑事チョン警部補率いる特捜班は犯人たちを取り逃がし、またその模様をTVで放送されてしまう。各メディアが香港警察を非難する中、組織犯罪化の指揮官レベッカは、警察の信頼回復のために、犯人逮捕の瞬間をTV中継することを提案する。
■レヴュー
冒頭、静かな香港の裏町の通りが、たちまち激しい銃撃戦になるワンカット7分の長回しのシーンに圧倒される。クレーンやステディカムを使い、ワンカットという制約を感じさせない、大胆な"実験"とも言うべきシーンだ。マスメディアを使っての警察と犯人側の攻防は、マスコミに対する皮肉でもある。日本でも「警察密着24時!」みたいな警察広報番組(?)があるくらいだ。とはいえマスコミ批判は表面的。やはり見ものはトー監督得意の、「表面はクールだが、実はその下では熱い男たち」の物語だ。いつのまにかヒロインであるケリー・チャンが憎まれ役になり、観客は冷酷非情だと思っていた犯人側に、感情移入していく。強盗団が立て籠ったアパートの一室でも、人質となったタクシー運転手の一家、偶然その部屋に逃げ込んだ指名手配中の殺し屋2人との間にドラマが生まれる。料理を作りながら打ち解けていく、追いつめられた男どうしの間に芽生える友情の描写がいい。そしてラストの長回しも実に大胆というか、緊張を途切れさせない。90分という短さのため、人物描写のシーンは最小限。そのあたりをふくらませることができたら、出来はもっと良くなったと思うのだが。(★★★☆前原利行)
■関連情報
本作は2004年のカンヌ国際映画祭に特別招待作品として出品。好評を得たという。同年の東京国際映画祭でも「アジアの風」部門に出品されている。
■映画の背景
冒頭の銃撃戦は奥運地区にあるチュンウィン街、犯人たちが篭城するアパートは油麻地地区のマンウイ街で撮影された。しかし香港では再開発が進んでおり、映画に登場した建物のほとんどが現在は取り壊されてしまっているという。