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■BOY A/BOY A

かつて犯罪を行い、成人して出所してきた元「少年A」
しかし、まじめに生きようとする彼を世間が追い詰めていく

2007年/イギリス

監督:ジョン・クローリー(『ダブリン上等!』)
出演:アンドリュー・ガーフィールド(『大いなる陰謀』)、ピーター・ミュラン(『マイ・ネーム・イズ・ジョー』)

配給:シネ・カノン
公開:11月15日より渋谷シネアミューズにて
上映時間:107分
公式HP:www.boy-a.jp

 
■ストーリー
部屋の中に一人の青年と老年の男性が向かい合っている。青年の表情は期待と不安に満ちていた。刑務所の外に出るのは、10歳以来、14年ぶり。その青年はジャックという新しい名前をもらい、誰も知らない場所で新たな人生を送り始めることになる。老年の男性はそんな彼を支えるソーシャルワーカーのテリーだった。

運送会社で働き始めたジャックには、やがて友人や恋人ができた。愛する人に本当のことを打ち明けたいと思うジャックだが、テリーはそれを思いとどまらせる。一方、世間では、かつて社会を騒がせた「悪魔の子=少年A」が出所したことが話題になっていた。現在の顔がモンタージュで作られて新聞のトップを飾り、ネットでは懸賞金がかけられる。ジャックは目立つことを避けて真面目に生きようとするが、世間はそんな彼をまだ許していなかった。

 
■レヴュー
 
「BOY A」、つまり「少年A」のこと。未成年者が罪を犯した場合、その年齢やその後の人生のことを考え、犯罪者であっても実名報道はしない。この物語の主人公ジャックも過去に大きな犯罪を犯した(物語が進むにつれ、それが何であるかが明らかになっていく)。出所し、別の名前で新たな人生を送ろうとするジャック。映画はゆったりとしたペースで、ジャックの不安や期待、そして時に見せる暴力性を見せる。成長する人生の重要な時期に、社会から隔絶された世界で暮らしてきたジャックは、体は大人でも考え方や感情は子どものようだ。しかしその純粋さが、周囲の人々をひきつける彼の魅力でもあるのだ。

彼の過去を薄々とは知りつつも、映画が進むにつれて私たちは彼を応援したくなる。感心したのは、こうした社会復帰を手伝うソーシャルワーカーが、刑務所時代から社会に出てからも引き続き面倒を見るということ。日本では、刑務所の中と出所後では心のケアをするのは別人で、出所後は地域の保護司にまかせっきりのような気がする。そうした面ではイギリスは日本より進んでいるのだろう。

ジャックは刑務所の中でよりも、外の社会で生きることにより、命の大切さや、自分のしたことの恐ろしさをリアルに感じるようになっていくが、それはつまり「愛し、愛される」ことを知ったからだ。

主演のアンドリュー・ガーフィールドは、主人公ジャックの繊細さからくる危さを見事に体現している。ソーシャルワーカー役のピーター・ミュランも渋くていい。小粒ながら、なかなか見ごたえのある作品だ。(★★★前原利行)

 
■関連情報
 
・2008年ベルリン映画祭パノラマ部門エキュメニック審査員賞

・2008年BAFTA最優秀男優賞、監督賞、編集賞、撮影賞

 
■DVD情報
 
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