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■ビリン・闘いの村−パレスチナの非暴力抵抗−



分離フェンスへの抗議デモを行うビリン村
その非暴力の運動を捉えたドキュメンタリー

2007年/日本

監督・撮影・編集:佐藤レオ

配給:HAMSA Films
公開:8月2〜8日(11:30、16:30)9〜22日(16:30)
劇場情報:アップリンクX
上映時間:61分
公式HP:www.uplink.co.jp/

 
■ストーリー
 
パレスチナ暫定自治区にあるビリン村。そこではイスラエル政府が建設した分離フェンスに対するデモが、毎週金曜に行われている。デモにはビリン村の住民だけではなく、彼らを支援するイスラエル人や外国人の活動家、またそれを報道する各国のジャーナリストたちも参加している。分離フェンスのために経済格差が生まれ、村の人たちは生活に支障をきたしていた。関係者のインタビューをまじえながら、彼らの非暴力の闘いをカメラは捕らえる。
 
■レヴュー
 
ここ数年、パレスチナ問題を扱った「日本人による」ドキュメンタリーが相次いで公開されている。公開が相次いでいるのは、たまたま時期が重なっただけかもしれない。しかし、僕にはパレスチナ問題が慢性化して、人々の関心が薄れていくことに、ジャーナリストたちが危機感を感じているのではないかという感じがする。世界中で大きな事件や自然災害が起きている今、パレスチナ問題はニュースバリューが低下しているのもかもしれない。しかし問題は解決したわけではなく、パレスチナでは依然として厳しい状況が続いている。それを再び、人々の意識に上らせるのは、なかなか難しいことだろう。とくに自分たちの外の世界に関心を失っていると言われる日本の若者たちに、それは伝わるのだろうか。そんなことを、この作品を見ながら考えた。

このドキュメンタリー『ビリン・闘いの村』は、副題にもある通り、「非暴力抵抗」を描いたものだ。パレスチナ人の抵抗運動というと、投石や自爆テロなどの衝撃性が強い映像がピックアップされがちなので、どうしても「暴力の応酬」のイメージが私たちについてしまう。しかし実際、パレスチナ人の多数は、暴力による抵抗を行っているわけではないのだ。本作は「暴力のクローズアップ」ではなく、こうした非暴力の抵抗をしている人たちもいるのだと、「日常の静かな抵抗」にカメラを向ける。パレスチナ人が非暴力的な行動をとればとるほど、強圧的に対処するイスラエル兵士側の暴力性が際立つのだ。

ビリン村の抵抗は、全体から見れば小さなものかもしれない。しかしそうしたひとつひとつの出来事を世界に知らしめることが大切なのだ。

証言の中にもあったが、抵抗運動(この場合はデモ)といっても決して一枚岩でない。単に日々のストレスを発散させたいがために来ている人もいれば、チャンスがあれば暴れたいと思っている人もいるのだ。同じようにイスラエル人兵士たちの中にも、いろいろな考えを持つ人がいる。個人的にはそのあたりをもっと知りたかった。ひとり当たりのインタビュー時間を短くしてもいいから、証言をもう少し多く集めたほうが、広がりが出たかもしれない。(★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
・プレスによれば監督の佐藤レオは、2004年に長期旅行でトルコ、シリア、レバノンを経てイスラエルに入国した。その時、そこでジャーナリストや活動家と出合ったことで、パレスチナ問題に関心を持つようになったという。
 
■関連情報
 
・ドキュメンタリーやドラマなどでパレスチナ問題を扱った映画はいろいろある。本欄では『プロミス』、『パラダイス・ナウ』、『1000の言葉よりも』などを紹介しているが、それ以外でも最近は『ガーダ パレスチナの詩』、『NAKBA』などの日本製作によるドキュメンタリーがある。残念なことに、新作を除けばレンタルビデオ店にはあまり置いていないので、上映する機会を見つけて足を運ぶしかない。東京都写真美術館ホールにて行われている「世界報道映画特集」でそのうちの多くが上映されるので、興味がある人はチェックしてみるといい(7/14まで)。

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