■ビハインド・ザ・サン/Behind the Sun

2001年/ブラジル
監督:ウォルター・サレス(『セントラル・ステーション』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』)
原案:イスマイル・カダレ(『砕かれた四月』)
出演:ロドリゴ・サントロ(『ラブ・アクチュアリー』『チャーリーズ・エンジェルフルスロットル』)、
ラヴィ=ラモス・ラセルダ、ホセ・デュモント、リタ・アッセマニー(『セントラル・ステーション』)
配給:ギャガ・コミュニケーションズ、アニープラネット
上映時間:92分
公開:11月6日より新宿武蔵野館ほかにて、以下順次全国公開
■ストーリー
1910年、ブラジル東北部の荒れた土地に、長年にわたり血で血を洗う争いを繰り返す2つの家族が住んでいた。サトウキビを栽培し、砂糖を作ってきたプレヴィス家と、牧畜業を営むフェレイラ家だ。
父、母、次男のトーニョとその幼い弟の4人で暮らすプレヴィス家は、奴隷制の崩壊により没落の道を歩んでいた。フェレイラ家のものによって殺された長男の血染めのシャツが黄色に変色した時、父はトーニョに復讐の時期が来たことを告げる。トーニョはフェレイラ家の長男を銃で倒すが、今度はトーニョが報復される番になる。フェレイラ家は喪に服し、両家は次の満月まで休戦を結ぶ。
その間、トーニョの弟は、町へ向かう途中に近くを通りかかった曲芸師の男女と知り合う。そして弟を連れて町へ曲芸を見に行ったトーニョは、その曲芸師の女性クララに一目惚れしてしまう。相思相愛になり、初めて恋の歓びを知ったトーニョ。しかし報復の時期は近づいていた。
■レヴュー
争いの空しさを知りながらも、家族の掟に従っていたトーニョだが、外の世界を知ったことにより、そこから抜け出すことを考える。この争いももともとは意味があったのだろう。しかし今では両家とも、「家族体制=家父長制」を維持するために、行なっているだけの不毛の争いなのだ。
この物語の神話性は、現在の「9.11以降」の世界に驚くほど当てはまる。体制を維持するためには、戦争やテロが適度に起こってくれないと困るという、指導者の声が聞こえてきそうだ。しかしそんな社会体制の中で暮らす1人1人は、本当にそんな社会を望んでいるのだろうか? 「裸の王様」を告発する少年の声が、届く日はくるのだろうか? すべてが終わってからでは遅いのだ。
★★★☆(前原利行)
■関連情報
・ブラジルの厳しい現実を描いた『セントラル・ステーション』が、ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、またアカデミー外国語映画賞にノミネートされるなど、世界の注目を浴びたウォルター・サレス監督。新作の『モーターサイクル・ダイアリーズ』(公開中)も好評だが、本作はその2本の間に発表された作品だ。
■映画の背景
原案となったイスマイル・カダレの小説『砕かれた四月』は、東欧のアルバニアを舞台にした血の復讐劇だった。それを読んだサレス監督は、舞台をブラジルに移して脚本化していった。