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■男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW/A Better Tomorrow


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ジョン・ウーの傑作アクションを韓国でリメイク
オリジナルの枠組みに忠実ながらも、韓国の事情も取り入れている

2010年/韓国

製作総指揮:ジョン・ウー(『男たちの挽歌』『フェイス/オフ』『レッド・クリフ』)
監督:ソン・ヘソン(『パイラン』『力道山』『私たちの幸せな時間』)
出演:チュ・ジンモ(『カンナさん大成功です!』)、ソン・スンホン(『ゴースト もういちど抱きしめたい』)、キム・ガンウ(『食客』)、チョ・ハンソン(『連理の技』)

配給:東映
公開:2月19日より全国東映系
上映時間:123分
公式HP:www.banka2011.com

 
■ストーリー
脱北の際、生き別れになった兄弟がいた。数年後、兄のヒョクは釜山を拠点とする武器密輸組織の幹部にのし上がっていた。弟分は、同じ北朝鮮出身のヨンチュンだ。ヒョクは機会がある度に弟・チョルの行方を捜していた。やがて2人は再会を果たすが、チョルは自分を見捨てて逃げた兄を許さなかった。組織から足を洗う決意を固めたヒョクは、最後の仕事でタイに渡る。しかし仲間のテミンの裏切りで、命を狙われ、逃走中に逮捕されてしまう。単身ヒョクの敵討ちをしにタイに渡ったヨンチュンだが、彼も重傷を負ってしまった。時がたち、出所したヒョクだが、すでに組織はテミンが牛耳り、ヨンチュンは組織の駐車係に落ちぶれていた。そして弟チョルは警察官となり、組織の摘発に乗り出していた。チョルに認められるよう、真面目に生きようとするヒョクだが、組織はそれを許さなかった。
■レヴュー
 
香港映画史上最大の傑作『男たちの挽歌』。そのリメイクがなぜか韓国でされると知り、正直驚いた。「なんで香港ではなく、韓国で?」。しかもジョン・ウー自ら製作総指揮をとるというのだ。

「旅シネ」を読んでいる人で、観ていない人は皆無だと思うので、ここで改めて言うのもなんだが、『男たちの挽歌』は香港、いやアジア映画の大傑作である。この映画を観たからこそ、僕も香港映画にのめり込んだ。当時のレンタルビデオ店では、チョウ・ユンファ・コーナーがどこにでもあり、池袋の文芸坐の特集上映には毎日通った。そしてことあるごとに友人たちに、この映画のすばらしさを説き、布教した(笑)

という訳で、今回のリメイク版はまったく期待していなかった。「どうせダメだろうなあ」と。ところが、意外に悪くない。もちろん大傑作のオリジナル版に比べれば、“佳作”レベルだが、アクションよりドラマ重視の造りに、かなりの丁寧さを感じる。プレスでは「その後、いろいろリメイクの話が来たが、みなアクション映画だった」とウーが語っているので、ウーとしては主人公たちが脱北者で、オリジナル版よりも「兄弟愛」を強く押し出している点が気に入ったのだろう。ウーも「オリジナル版では、兄弟愛がうまく描けなかった」と言っている。それもまあチョウ・ユンファがカッコ良すぎたからで仕方がない。当時、ユンファはブレイク直前。ウーにとっては誤算だったが、みなこの映画のユンファにしびれ、死んだはずなのに、続編が2作も作られたほど。

さて、このリメイク版。邦題の“男たちの”に嘘偽りなく、女性は食堂のおばちゃんぐらいしか登場しない男臭さ100%。「イケメンなのに、誰も恋人いないのかよ」とツッコミを入れたくなるが、これは男同士の報われない愛(ゲイじゃないよ)の映画なのだ。兄は弟に許してもらいたい、愛してもらいたいし、弟は兄を憎んでいるが、それは愛していたからこそ裏切られた思いが強い。そして天涯孤独の弟分は、兄貴を本当の兄貴のように慕っており、実の弟が兄を侮辱するのにカツを入れる。悪役の裏切り者も、ちやほやされている兄貴分たちに嫉妬しているから裏切り、彼らを殺さないのも、見返してやりたいからなのだ。

本作への不満は、みな若いイケメンだということ(嫉妬しているわけじゃないよ)。兄貴分は、もっとオッサン臭いほうがいい。見た目弟分と歳がそう変わらないので、舎弟関係にあるってわからなかったよ。すぐには。彼は実の弟と、心の弟ふたりの兄貴分なんだから、見た目が友だちぐらいなのはちょっと。

そして、オリジナル版もかなりの“男泣き”映画だったが、本作は泣きのシーンがちょっとくどい。映画を見ている限り、韓国人は男もよく泣く。ちょっとベタかと。そんな不満もあるけど、ラストの埠頭での対決は、オリジナルファンも満足なはず。でも続編は作らないんだろうなあ。(★★★☆前原利行)

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