Home > 旅シネ > たまゆらの女

■たまゆらの女(ひと)Zhou Yu's Train(周漁的火車)

2002年/中国

監督・脚本・製作:スン・チョウ(『きれいなおかあさん』
出演:コン・リー(『活きる』『始皇帝暗殺』)、
   レオン・カーファイ(『愛人/ラマン』『ダブル・ビジョン』

配給:
日本ヘラルド映画
公式サイト
http://www.herald-arthouse.com/tamayura/index.html

上映時間:97分
公開:9月27日
シネスイッチ銀座にて
 
■ストーリー
 
 中国・雲南省の古都・建水の陶磁器の染め付け工場で働くチョウユウは、知り合った詩人の男チェンチンに心奪われる。その日から男が住む水辺の都市・重慶まで、週に2回、汽車で10時間かけて通う日々が始まった。図書館で働くチェンチンは、詩人としてまだ成功してはいなかった。そんな彼を支えるように、チョウユウは深い愛情を注ぐが、それが少しずつチェンチンには負担になっていた。ある日、彼女の前に同郷の獣医チャンが現れる。次第にチョウユウに愛情を示していくチャンに対し、彼女の心は揺らいでいく…。
 
■レヴュー
 
 「たまゆら」とは古文にでてくる言葉で、「かすか」「しばらく」といった意味。そんなそこはかとない雰囲気を漂わす主人公を演じているのは、中国の名女優コン・リー。相手役は「頼りがいがないヤサ男」を演じたら中華圏一ともいえるレオン・カーファイで、ここでもピッタリと生活力のない詩人を好演している。
 詩人(文科系)に恋する女、その女に恋する獣医(体育会系)という三角関係を映画は丁寧に描写している。あくまで焦点は「恋愛」なので、それぞれの仕事や人間関係にはあまり踏み込まない。そのあたりが物足りないというか、恋愛至上主義が少々暑苦しい(好みの問題)。最初はいい仲だった女と詩人だが、自分の将来も男の才能に託してしまうような女の過剰な期待に、男はだんだん負担を感じ始める。週に2回も列車に乗り続けるのも、本当の男を好きなのだからではなく、自分の満たされない現状を埋めるためと見抜いたからだ。その彼女をそばで幸せにしたいという男が近くにいる。しかし「身近なしあわせ」では彼女の愛の渇望はなかなか埋められないのだ。僕の身近にも、なかなか幸せになれない女性がいた。最初は同情して力になってやろうとしたが、しだいに彼女たちが、進んでそうした道を選んでいることに気づいた。障害があるから、恋しているのだと。そんなわけで、獣医のチャンは一時的にしか彼女をつなぎ止められないのだ。障害がないから。
 しかしこの話、コン・リーの一人二役(主人公のチョウユウと、ショートカットの都会の女性シュウ)がわからず、映画が終わる3分前ぐらいでやっと「あの2人は別人?」と気づき、あとでプレスを読んで納得した次第。冒頭、チョウユウにそっくりなシュウに出合った詩人が思わず彼女の後を追いかけるが、僕はこれがチョウユウとの出合いのシーンと思いこんでいた。ときおり挟まれるシュウのシーンも過去、または未来のシーンがインサートされていると思いこみ、「やたら回想シーンが多くてわかりにくい映画」と思いこんでいた。コン・リーが二役やるのは少々無理があるように思うのだが(別人でもどこか面影が似ていればOKなので)。とくにショートカットのシュウ役を演じるには、年齢的にもムリがあるのではないか(多分20代という設定)。
★★☆(前原利行)
 
■映画の背景 Behind the Movie■
 
・主人公チョウユウが住んでいるのは、雲南省の古都・建水。通海からはバスで2時間。唐の時代、南照国の時代からの歴史があり、今でも明・清代の古い建物が残る建築博物館といってもいい町。主な観光ポイントは、中国第2の孔子廟や双龍橋、朱家花園や朝陽楼など。
・画面を見ている限り、チョウユウの座席はいつも硬座。撮影された鉄道路線はよくわからないが、鉄道シーンはかなり多いので、中国鉄道マニアは楽しめるかも。
・チョウユウが通う、詩人のチェンチンが住むのは、四川省随一の大都会・重慶。川向こうから見た高層ビルが建ち並ぶ重慶の姿は。どこかニューヨークのマンハッタンに似ている。川を越えるロープウェイも、映画の中の重要なシーンに登場。
 
■DVD情報
 
たまゆらの女 [DVD]
たまゆらの女 [DVD]
posted with amazlet at 09.04.06
松竹 (2004-03-25)
売り上げランキング: 51774

Home > 旅シネ > たまゆらの女