■氷の国のノイ
|
|
2003年/アイスランド+ドイツ+イギリス+デンマーク
監督・脚本:ダーグル・カウリ
出演:トーマス・レマルキス、スロストゥル・レオ・グンナルソン
配給:イメージ・フォーラム
上映時間:93分
公開:6月12日(土)よりシアター・イメージフォーラムにて |
|
 |
|
|
| ■ストーリー |
|
アイスランドの最北部の村で、退屈な生活を送っている17歳のノイ。学校をさぼってばかりで、テストの答案も白紙で出してしまうようなスキンヘッドの 高校生だ。朝寝坊のノイをショットガンで起こしてくれる無口なおばあちゃんと同居している。
ある朝、少し離れたところに別居している父親がやってくる。ノイの高校の出席率について校長から手紙をもらったので、心配してやってきたのだ。ノイはそんな父親を少しうざいと思いながらも、少なからず愛情を感じている。
そんな中、ノイはガソリン・スタンドで働くイーリスという女の子に恋をする。彼女は旧知の本屋の親父の娘で、最近都会からで戻ってきたのだ。二人は、意気投合し、いつしかこの村を一緒に出て行くことを約束する。
しかし、ついにノイは校長に退学を言い渡される。それからというものノイの生活は下り坂。おばあちゃんに薦められて村の占い師に話を聞くものの、占いの結果は「死」と出てしまう。行き詰まったノイはイーリスとの逃避行を試みるのだが……。 |
|
| ■レヴュー |
|
|
「ここではないどこか」へ行きたいと思っている主人公ノイ。自分が一体何をしたいのか、どんな人間になりたいのか、何も答えが出ないまま悶々とした日々を過ごしている。いまどきテストの答案を白紙で出すようないわゆる高校生がいるのかどうかは別にして、反抗精神とクールさは一人前だ。そんな彼が、イリースという女性に出会い、「どこか」へ行くきっかけを掴もうとする。しかし、彼の前には超えなくてはならない壁があった。
学校を退学したノイが、墓堀人の仕事をするシーンがある。しかし、ここはアイスランド。永久凍土の地面に、スコップは歯が立たない。まったく穴を掘ることができないノイは自分の非力さに腹を立て仕事を放りだしてしまう。
一方、彼が唯一安心できる安息の場所は自宅の地下室だ。ここも頑強な永久凍土の壁に囲まれた場所だ。そこは棺桶のようでもあるし、ゆりかごのようでもある。彼をすべてのものから守ってくれるところだ。
永久凍土の土地は、ノイにとって退屈で保守的で頑強な「故郷」であり、また、生まれ育った愛すべき「故郷」でもあるわけだ。そんな故郷や家族に対するノイのアンビバレントな感情が随所に現れていて、この映画を優れた青春映画にしている。
現在31歳のダーク・ガウリ監督は1995年にアイスランドを出てデンマークの国立映画学校に通った。卒業制作はデンマークで撮ったのだが、この長編デビュー作は故郷アイスランドで撮ることにこだわったそうである。主人公ノイは監督自身が投影されたキャラクターなのだろう。
フィヨルド地方の息を飲むような白く美しい風景と、味のある登場人物たちは、この映画を少し神秘的な雰囲気にしてる。アイスランドは火山の多い国で、この映画のクライマックスに重要な役割を果たすのだが、その思いがけない結末には異論がでるかもしれない。しかし、北欧で育まれたトロル(妖精)や寓話などの文化的背景を考えるととても自然なエンディングでもある。結局、ノイは全ての呪縛から自由になるのだが、それに引き換えあまりにも大きなものを失うことになる。その結末にこそ、監督の故郷に対する複雑な想いが顕著に現れていると思うのだ。
(★★★☆カネコマサアキ)
|
|
| ■関連情報 |
|
2003年アンジェ映画祭審査員大賞・音楽賞
2003年ロッテルダム国際映画祭ムービー・ゾーン賞
2003年ヨーテボリ映画祭北欧映画賞・FIPRESCI賞
2003年ルーエン北欧映画祭審査員大賞
2003年エジンバラ国際映画祭新人賞入選
2003年エッダ賞代表作品
2003年デンバー国際映画祭最優秀ヨーロッパ映画賞
|
|
| ■DVD情報 |
|
ダゲレオ出版 (2005-06-25)
売り上げランキング: 60042
|