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■HERO/英雄

2002年/中国

監督:チャン・イーモウ(『初恋のきた道』『あの子を探して』)
アクション監督:トニー・チン・シウトン(『スパイダーマン』『少林サッカー』)
製作:ビル・コン(『青い凧』『息子の告発』『グリーン・デスティニー』)
撮影:クリストファー・ドイル(『欲望の翼』『恋する惑星』)
美術:フォ・ティンシャオ(『哀戀花火』『覇王別姫』『始皇帝暗殺』)ほか
衣装デザイナー:
ワダエミ(『乱』『宋家の三姉妹』、ピーター・グリーナウェイ作品)
音楽:タン・ドゥン(『グリーン・デスティニー』)
太鼓演奏:鼓童
出演:ジェット・リー、トニー・レオン、マギー・チャン、チャン・ツィイー、ドニー・イェン

配給:
ワーナー・ブラザース
上映時間:99分
公開:終了

公式サイト→
http://www.hero-movie.jp

第75回アカデミー賞で外国語映画賞ノミネート
第53回ベルリン国際映画祭・特別賞受賞
第22回香港金像奨・撮影賞、美術賞、視覚効果賞など7部門受賞
 
■ストーリー
 
 紀元前200年の中国、のちに始皇帝となる秦王のもとに、ひとりの男がやってくる。無名(ジェット・リー)と名のるその男は、秦王の命を狙っていた三人の刺客、残剣(トニー・レオン)、飛雪(マギー・チャン)、長空(ドニー・イェン)の槍と剣を持っていた。十年の歳月をかけ、どんな相手でも十歩以内に近づけば、必ず倒すことのできる剣技を身につけたという無名は、その三人の刺客を倒し、拝謁に来たという。無名は褒美として秦王にあと十歩の距離に近づく。そして彼の口から、刺客との戦いと悲しい運命の物語が語られた…。
 
■レヴュー
 
 正直言って『グリーン・デスティニー』はアクション映画としては僕には不満だった。だから今回、チャン・イーモウがアクションを演出することに関して多少の危惧はあったのだが、結果として大満足の出来。そうそうたる顔ぶれのスタッフとキャストが、期待通りの力を出した作品だ。
 まずスター俳優の輝き。そこに立っている佇まいだけで見せられるスターは、もうハリウッドにはいないのではないか。ジェット・リーも最近のふやけた役どころではなく、存在感のある演技を示し、「超」がつくほどクールなドニー・イェンとの死闘は『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』以来で、カッコいいのひとこと。アクションが弱いトニー・レオンはあまりアクション系の見せ場がないが、その分相変わらず大きな瞳をうるうるさせ、文系キングの存在感。その分、アクションはマギー・チャン(相変わらずうまい)とチャン・ツィイー(相変わらずガンバリ顔がいい)が受け持ち、落ち葉の中での女の戦いを見せてくれる。ここは白土三平の忍者マンガを連想。『グリーン・デスティニー』では違和感を感じた「飛ぶ」シーンも、ここでは話中ということもあり、すんなり見られた。
 




 また要チェックが画面の色彩デザイン。シーンごとに基調となる色を決め、それに合わせて一目で印象に残る衣装をワダエミが設定している。チャン・イーモウの凝りに凝った様式美とでもいうべきか。「絵」として画面が完成されているのだ。見る価値ありの映画。
★★★★(前原利行)


 巨匠、チャン・イーモウ初のアクション・エンターテイメント超大作ということで、出演者が空中で戦ってるシーンを以前テレビで観て、大丈夫か?と思っていた。けれど、そんな心配をよそに冒頭から壮大な宮廷シーンに魅せられる。全編を通じても、見所はなんといってもチャン・イーモウの映像美。しかも今回はワダエミの完璧な仕事っぷり(衣装・人物造形)がそれに拍車をかけている。ストーリー展開はとある日本の巨匠監督作品へのオマージュかとも思われ、最後に立ち現れるヒーロー像もとても東洋的。映画の設定を今の国際社会に置き換えると秦王にあたる人物の人格や洞察力、人間的魅力が比較し得ないのは明らか。アクション監督は『少林サッカー』のかただともいうで、多少気になるワイヤーワークやCG合成は笑って観てればいいのでは?
★★★★(今野)

 
■関連情報
 
・旧正月のシーズンにアジア各国で公開され、中国では中国映画史上最高の興行収入と観客動員を達成し(『タイタニック』を超える!)台湾、韓国、香港、シンガポールでも大ヒットをしている。
・誰もが観て思うとおり、『マトリックス』のCGチームが手を貸している。
・アクション監督のトニー・チン・シウトンは、チャン・イーモウとコン・リーが主演した『テラコッタ・ウォリア 秦俑』('89)の監督でもあった。
・武侠映画を作るのが長年の夢だったという監督は、原作となる武侠小説を探すが満足のいくものが見つからず、自ら脚本を書き始めた。それが、90年代後半、つまり製作は同じビル・コンであっても『グリーン・ディスティニー』の後追い企画ではないとのこと。
・秦の軍隊には、中国人民解放軍の兵士が訓練を積んでエキストラ出演している。
 
■映画の背景
 
 ロケは中国大陸各地で行なわれた。秦軍が趙に侵攻する砂漠のシーンは、敦煌から200kmの距離にある甘粛省の沙漠の中で、マギー・チャンとチャン・ツィイーが闘う落葉樹林は、内蒙古の西北部にある胡楊林で、ジェット・リーとトニー・レオンが湖上で舞うシーンは、世界遺産にもなっている四川省の九寨溝で撮影された。
 

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