| ■パイラン/Failan |
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| ■ストーリー |
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| 舞台はソウルの外れ、インチョン(仁川)。カンジェは四十歳を過ぎてもうだつの上がらないチンピラだ。幼なじみだったヨンシクはボスになり、今ではカンジェは若い子分にもバカにされている。ある日、カンジェはボスのヨンシクが敵対する組織の男を殺す現場に居合わせてしまう。ヨンシクは大金と引き換えに、カンジェに身替わりになってくれと頼んだ。将来に希望が持てないカンジェは引き受ける。翌日、カンジェのアパートを警官が訪ねてきた。「奥さんのパイランが亡くなられました」。カンジェは、かつて金のために自分が中国人女性と偽装結婚していたことを思い出した……。 |
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| ■レヴュー |
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誰も頼る人がいない韓国で生きるためには、身も知らぬ男との偽装結婚しかなかった。会ったこともない夫のたった一枚の写真を希望に、けなげに生きる女性パイラン(白蘭)。この汚れを知らないような女性に対し、カンジェは自分でも「社会のクズ」と呼ぶダメな男だ。『シュリ』で冷酷な北朝鮮将校を演じ、強烈な印象を残したチェ・ミンシクが、ここではイキがってはいるが冷酷にもなれない、ヤクザとしても中途半端な男を見事に演じている。彼自身も「ヤクザ」という仕事に向いていないことはわかっていながら、人生後戻りできない年齢になりつつある自分へいら立っている。彼のそんな気持ちが良く伝わってくる。
そんな男が、存在すら忘れていたパイランのことを死んで初めて理解し、何もしてやれなかったことを悔い、そして縛られていた心が解き放たれるのだ。カンジェが失ったものを知って流す後悔の涙は、フェリーニの名作『道』でザンパノが海岸で流す涙と重なって見えた。ここはふと立ち止まって、人生を振り返る年齢になった男だからこそ、重みを増すのだろう。その男と幸薄い女性とのコントラスト。映画が終盤へ向かうにつれ、試写室では涙をぬぐう音が絶えなかった。派手さはないが、手堅い一作。
★★★☆(前原利行) |
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| ■関連情報■ |
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| 日本でも同じ原作の「ラブ・レター」は映画化されている。98年5月に同名の『ラブ・レター』で劇場公開されている(監督/森崎東、主演/中井貴一)。 |
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| ■映画の背景■ |
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| ・主人公カンジェが暮らす街は、首都ソウルから車で1時間ほどの都市インチョン(原作では新宿)。パイランが働く海沿いの小さな町は、日本海側の江原道にあるテジンという小さな港町でロケされている。 |
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