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■午後の五時/At Five in the Afternoon

2003年/イラン、フランス

監督・脚本:サミラ・マフバルバフ(『りんご』『ブラックボード 背負う人』『セプテンバー11』) 
製作・脚本・編集:モフセン・マフバルバフ(『カンダハール』『パンと植木鉢』)
出演:アゲレ・レザイ、アブドルガニ・ヨセフラジー、ラージモヘビ
配給:東京テアトル
上映時間:105分
公開:2004年6月、銀座テアトルシネマにて
 
■ストーリー
 
 タリバン崩壊後のアフガニスタンで。22歳の女性ノクレは、信心深い父親、戻らない夫の帰りを待つ兄嫁のレイロマと一緒に暮らしている。ノクレは神学校に行く振りをして、親にも内緒で一般の学校に通っている。「アフガニスタンの大統領になりたい人は?」という先生の言葉に、思わず立ち上がるノクレ。一方、パキスタンからの帰還民の群れがノクレの家を占拠。落ち着かないノクレの父は一家を引き連れて、無人の宮殿跡へ移り住む。帰還民の中にいた詩人の青年が、ノクレにスペインの詩人の詩を送った。ほのかな交流を楽しむ2人。しかし、父親は町を出る決意をしていた。い夜を過ごしている。同じホテルにはカメラマンの夫に同行してきた若妻のシャーロットがいた。仕事に追われる夫にひとり取り残され、孤独を味わう彼女も、やはりホテルの部屋で眠れぬ夜を過ごしていた。ふたりはホテルのバーのカウンターで、いつしか会話を交わすようになる。
 
■レヴュー
 
 1980年生まれのサミラ・マフバルバフは、イランを代表する名監督モフセン・マフバルバフの娘。17歳の時に撮った初の長篇『りんご』がカンヌ国際映画祭の史上最年少出品作品になり、話題を集めた早熟の天才だ。
 先日、妹ハナとともに来日して記者会見を開いたが、質問は映画そのものよりも「アフガニスタンにおける女性の現状」に終始し、何だか「特派員レポート」のようになってしまったのが印象的だった。きっと今後は映像作家としてより、「女性の立場から政治的、社会的メッセージを発し続ける人」のようなポジションに置かれてしまうんだなあと、少々心配だ(『りんご』がすばらしかっただけに)。ちょっと雰囲気がソフィア・コッポラに似てきているのも気になる。
 カンヌ映画祭の審査員賞に輝いた本作品は、アフガニスタンの女性にフォーカスを当てている。タリバンから「解放」されたアフガニスタンだが、差別されていた女性の解放が一気に進むかといえばそう単純ではない。今も人々は飢え、子どもたちは死んでいき、女性の素顔を見た男たちは顔をそむける。この作品では、そんなアフガニスタンの現状を、時には写実的に、時には詩を連想させるような象徴的な表現で包んでいる。この「詩」の部分こそが、マフマルバフ一家の作品の最大の魅力だと思う。
 作品タイトルは、スペインの詩人ガルシア・ロルカの詩から取られている(劇中、詩人の青年がノクレに読んで聞かせる)。「午後の五時、闘牛士に死が訪れる…」。その不吉な言葉の響きは、アフガニスタンの未来を暗示しているようで不気味だ。
★★☆(前原利行)

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