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■ハナのアフガンノート/Joy of Madness



2003年/イラン

監督・撮影:ハナ・マフバルバフ
編集・音響:マスタネ・モハジュル


配給:東京テアトル
上映時間:73分
公開:5月銀座テアトルシネマにてモーニングショー



 
■ストーリー
 
2002年9月、アフガニスタンの首都カブールで、22歳の女性映画監督サミラ・マフバルバフの新作『午後の五時』のための出演者探しが始まった。スタッフには同じく映画監督である父モフセンと母マルズィエの姿も見える。そしてその模様をドキュメンタリーにする13歳の妹ハナ。気軽に出演を了承した父親役のハジという老人だが、途中で何かと理由をつけて降りてしまう。サミラが最初に主人公に選んだ女性は、出たそうな素振りを見せながら、婚約者がいることを理由に結局ダメ。偶然、次に見つけたサミラと同じ22歳の女性は、出演の意欲はあるが、戸惑いはかくせず、なかなかOKが出ない。
 
■レヴュー
 
 この映画はもともとサミラの監督作品『午後の五時』のドキュメンタリーとして企画が始まった。ところが、うまくいかない出演者選びの方が面白くなってしまい、そこだけをまとめることになったという。13歳のハナが撮ったこの作品では、映画に出るように説得する人、それにためらう人々の姿が映し出されている。出ると意欲を燃やしていた人が、急に「やめる」と言い出すワガママ振りもさることながら、それを何とかして思いとどまらせようと説得するモフセン一家の姿もスゴい。映画に出てもらうためには、「あなたは最高よ! かっこいい」と心にもない(おそらく)褒め言葉を発する姉サミラの、白を黒と言いくるめるパワーを見て、昔よく受けた「英会話の教材の勧誘」や「アムウェイの勧誘」を思い出した。作品にかける熱意が強ければ強いほど、カメラは冷静にその姿をとらえるのだ。
 さて、そうしたマフマルバフ一家の熱意の空回りもあるが、やはり中心は映画に出た人、出なかった人も含め、カメラに収められたアフガニスタンの人々の姿と生の声だ。タリバン政権が崩れても、人々はすぐに以前の生活を忘れて、リベラルな生き方を選ぶわけではない。問題は「タリバンがいなくなれば終わり」ではなく、タリバンが増長するようなアフガニスタンの社会構造にあるからだ。そうしたことが出演者選びの過程を通して、少しずつ浮き出てくるところが興味深い。★★★(前原利行)

■関連情報
 
イランを代表する監督であるモフセンを筆頭に、家族5人全員が映画監督であるというマフマルバフ一家。その作品をあげてみると
モフセン・マフバルバフ(父)…『サイクリスト』(89)、『サラーム・シネマ』(95)、『パンと植木鉢』(96)、『カンダハール』(01)、マルズィエ・メシュキニ(母)…『私が女になった日』(00)、サミラ・マフバルバフ(長女)…『りんご』(98)、『ブラックボード 背負う人』(00)、メイサム・マフバルバフ(長男)…『メイキング"ブラックボード"』(00)、最年少の末娘のハナによる、この『ハナのアフガンノート』はベネチア映画祭に公式出品され、国際映画祭出品の最年少の記録(14歳)を作った。

サミラ&ハナ・マフバルバフ来日記者会見

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