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■10話/Ten

2002年/フランス、イラン

監督・脚本:アッバス・キアロスタミ(『友だちのうちはどこ?』『桜桃の味』)
出演:マニア・アクバリ、ロヤー・アラブシャヒ

配給:ユーロスペース
上映時間:94分
公開:終了
 
■レヴュー
 
 イランを代表する監督・キアロスタミの新作は、前作『ABCアフリカ』に続き全編デジタル・ビデオによる撮影だ。ドラマ性を排除する傾向に一段と拍車がかかり、今回は車のダッシュボードに据え置きで設置した小さなデジタルカメラが、運転席と助手席に座ったふたりの会話をそのまま撮り続けているだけ。キアロスタミ自身はと言えばカメラを覗いていないばかりか、この車にも同乗していないという。もうこうなってはドラマなのかドキュメンタリーなのか、その境界は極めて曖昧だ。そこまで徹底して、意図的な演出を排除しているにもかかわらず、この作品にはいつものキアロスタミが存在しているのは、さすがというべきだろう。ただし映画的な興奮を感じるかは別の話で、僕はその潔い手腕には感心しつつも正直言って映画自体には乗れなかった。
 それはともかく、この作品から浮き上がってくるのは、イランにおける女性の位置だ。この車に乗っているのは、子どもを除けばすべて女性。平均的なイラン女性を代表する姉、信心深い老女、家庭にすがる女たちを嘲笑する娼婦、婚約相手の浮気に悩む女性、離婚に苦しむ友人、イラン女性が抱える悩みや問題を、声高にではないが取り上げているのだ。息子が登場するのは、成長していく子との関係をどう築いていくのかが、母として大きな問題だからだろう。これらの会話で語られる問題は解決されないが、助手席に乗った人々の人生は、車を降りた後も続いていく。彼の映画のタイトルを借りるなら『そして人生はつづく』のだ。
★★☆(前原利行)
 
■関連情報
 
・昨年フランスで公開されると非常に高い評価を受け、老舗の映画批評誌「カイエ・デュ・シネマ」ではその年のベスト1の評価を得ている。
 

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