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■サラーム・シネマ/Salaam Cinema
製作年/製作国:1995年/イラン、フランス
※ディレクターズ・カット版

監督・脚本・編集:モフセン・マフマルバフ(『カンダハール』他)
助監督:モハラム・ゼイナルザデ(『サイクリスト』)
出演:アザデ・ザンゲネ/マルヤム・ケイハン/フェイゾラ・ゲシラギ/ハミド・ゲシラキ/
シャガイエグ・ジョタト(『ギャベ』) /ミルハディ・タイエビ(『パンと植木鉢』)/俳優志望者たち数千人

配給:オフィスサンマルサン
上映時間:90分
公開:終了
公式サイト→
http://www.imageforum.co.jp/makhmalbaf/

1995年カンヌ国際映画祭正式出品作品「ある視点」部門
1996年ミュンヘン国際映画祭最優秀作品賞受賞
 
■ストーリー
 
 大勢の人々の行列、その先での大混乱。イランで最も人気のある映画監督マフバルバフが新作の出演者を選ぶオーディションに押しかけた数千人の人たちだ。その中から選ばれた人たちのカメラ・オーディションが始まり、素人の映画出演希望者たちに監督は難題や質問を浴びせる。映画のためのオーディションが、いつしかそのまま映画になってゆく。
 
■レヴュー
 
 冒頭、まず会場に押し寄せる大群衆のパワーに圧倒される。しかしそれを除けば、ラストまでひたすら会場でのオーディション・シーン。そして出演者はといえば、監督や撮影スタッフを除けばすべて実際に出演を志望してきた一般の素人たち。「そんな映画が面白いのか?」という声が聞こえそうだが、これがだまされたと思って観て下さい。ウソのように面白いのだ。
 この映画はドキュメンタリーかと言われれば、そうとも言えない。なぜならマフマルバフ監督が、カメラに向かった志望者たちをその場で「いじり」、より映画的にしていくからだ。と言っても相手は職業俳優ではないから、監督の思い通りに運ばない。その「ねじれ」加減が演技ではない分スリリングで、ハリウッド映画を見慣れた目には、とても新鮮に映る。
 

 監督が出演志望者に投げかける「君は冷たい芸術家になりたいか。それとも心暖かい友人でありたいか」という問いは、おそらく監督が映画作りにおいて、常に自問している問題だろう。プロダクションノートを読んだり、ドキュメンタリーのインタビューからだと、マフマルバフは出演者にとってイヤーな監督だ。映画のために、出演者(しばしば俳優ではなく素人)たちの感情をコントロールしている。時には映画を観ているこちらが出演者たちに同情してしまうほど。「映画のために」には冷たい芸術家にならなければならない時もある。そしてそれはこの作品のテーマのひとつでもあり、そのまま映画作りそのものを象徴する質問にもなっているのだ。「私が30数える間に涙を流すことができなかったら失格だ」とオーディションで監督にいわれる素人の出演志望者たち。彼らにとっては冷酷な言葉だろう。しかし映画が涙を必要としたら、それはどうしても必要なのだ。
 現在、モフセン・マフマルバフは世界最高の映画作家の1人であることはまちがいない。彼の映画を観たことがないという人はまず観て欲しい。名作『ギャベ』『パンと植木鉢』と共に、ひとつのピークを築いたのがこの作品だ。
★★★★(前原利行)



 何かの配給か?と思わせる人々の長い行列と、取り付け騒ぎさながらのモブ(暴徒?)・シーンから始まり、ハンドマイクを手に話す監督がそのまま殺されてしまうんじゃないかというようなオープニング。
 その大勢から選りすぐられ、この映画で観られるのは、監督を欺こうとする青年、秘密の企みを打ち明ける女、強面(コワモテ)の男、問い詰められ逆切れする女、子供たちを推す元政治犯の父親、楯ついて言うことを聞かない人々、歌う人々、撃たれ倒れる人々などなど。出演者は監督に試され、時にもてあそばれ、反抗する。そんな彼らに対するアドリブとは思えない的確な指示と要求、質問と挑発。人を動かす、人の心を動かす監督という職業の、その資質というのを見せつけられる。
「冷淡な芸術家か、穏和で優しい一般人かを選べ」と監督は出演希望者に問う。オーディションは途中、人生相談さながらの展開をみせ、何モノかの真に迫る。

 『サイクリスト』の主演者が小間使いのようにこき使われていて、「アレ?」と思うが、途中で観せてくれる。その他にも、このオーディションがキッカケとなったわけだが、その後のマフマルバフ作品を観たことのある人は、何処かで観た顔をこの映画の中に見る。これを観た後に、それらを観ても面白いだろう。
 「100%の面接映画」、タイトルの直訳は「コンチハ 映画」だとか。
★★★★(今野)
 
■映画の背景 Behind the Movie■
 
 マフマルバフが新作映画のオーディションをおこなうという小さな新聞広告を見て集まった数千人の出演希望者というのだが、冒頭の顔ぶれは役者の卵たちというより、失業者(求職希望者)の集まりにも見える。'94〜95年当時の失業率は約30%という統計がある('00〜01年には13.7%)。

 「悪の枢軸」呼ばわりされ、アメリカ映画の公開は現在ないイランではあるが、出演者の口からは「自分は……に似ている」とハリウッド・スターの名前が次々出てくる。これが全く似ていないのだが、みんな衛星放送で観てるのかな?
 
■関連情報■
 
 今回上映されるのは、カンヌや東京国際映画祭での上映バージョンより15分長い90分のディレクターズ・カット。

マフマルバフ・ファミリーのホームページ(英語)
http://www.makhmalbaf.com/

マフマルバフ一家の作品紹介はイメージフォーラムさんのサイト
http://www.imageforum.co.jp/makhmalbaf/kkskhn.html
を御覧下さい。
 

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