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■グレースと公爵/L'anglaise & Le Duc
製作年/製作国:2001年/フランス

監督:エリック・ロメール
出演:ルーシー・ラッセル、ジャン=クロード・ドレフュス

配給:プレノン・アッシュ
上映時間:125分
公開:終了

2001年ヴェネチア映画祭金獅子賞(永年功労賞)受賞

 
■ストーリー
 
 フランス革命期にパリで暮らしたイギリス人女性の回想録を元に映画化。かつて恋仲であったオルレアン公とは政治信条が違いながらも、固い友情で結ばれている英国人グレース。捕らえられたルイ16世やマリー・アントワネットの身を案じながら、王政を支持する彼女はパリに留まっていた。しかし革命が加速度的に進んでいくと、2人は危険な状況に追い込まれていく。
 
■レヴュー
 
 革命に熱狂する人々は暴走し、次々と反対意見を黙殺し、従わない者を粛正していく。王党派であるグレースは、そうしたひとつの方向へ社会が突き進んでいく怖さを、身を持って体験していく。こうした怖さはいつの世にも十分通じるものだ。原作はグレースの回想録なので、この映画もグレースが体験したことしか描かれていない。俯瞰ではなく、あくまで個人の目から見た範囲でフランス革命も描かれている。そこがもどかしい反面、実際その場にいたら全体の一部しかわからないだろうという雰囲気が、リアルさ(画面はちっともリアルではないのだが)を増すから不思議だ。したがってふつうのフランス革命映画ならお約束の、ルイ16世もマリー・アントワネットも話の中だけにしか登場しない。この映画が始まってからは、グレースが彼らの姿を見ることはなかったからだ。  
 話が尻切れトンボのように終わるのは、いつものロメール映画と同じだ。その時は何ということはないが、後から考えればあれが重要な瞬間だったと思うことは人生にはよくある。そんな雰囲気を出すためにあえて映画的なクライマックスをはずしたのかもしれない。フランス好きにおすすめの小品。
★★★(前原利行)
 
■映画の背景 Behind the Movie■
 
 ロメール監督はこの映画を製作する際に「古い街並みが残っている村の一部を撮影して、パリに見せることはしたくなかった。それらはパリでないことはわかるはずだ」と語っている。そこで彼はこの作品では、背景となる絵を油絵などで描かせて、実写の人物をCGで重ねていくという手法をとった。18世紀末のパリの風景はすべて絵。エッフェル塔や凱旋門など誰もがパリをイメージするランドマークがない(よく知られている建物ではノートルダム大聖堂ぐらい)パリというのも、こうした試みだからこそ再現しやすかったのだろう。
 CGを使ってパリの街を再現したといっても、『グラディエーター』のようにリアルを目指したものではなく、いかにも「絵」そのものの中で人物が動いていく。それならリアルさはないかというと、見た目は確かにリアルではないが、雰囲気は良く伝わっている。例えばモネの絵画と写真を比べた場合、モネの絵にリアルさはないけど、そこから立ち上ってくる空気感は写真より絵の方が伝わってくることがある。これもそうで、画面がリアルではない分、それを補うようにこちらの脳細胞が刺激されるのかもしれない。
 
■DVD情報
 
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