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■ベアーズ・キス/Bear's Kiss

2002年/カナダ

監督・製作・脚本:
 セルゲイ・ポドロフ
 (『コーカサスの虜』)

出演:レベッカ・リリエベリ
 (『ショー・ミー・ラヴ』)
 セルゲイ・ポドロフJr.
 (『コーカサスの虜』
『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』)

配給:
ギャガ・コミュニケーションズ
   Gシネマグループ
公式サイト
http://www.gaga.ne.jp/bearskiss/

上映時間:98分
公開:終了
 
■レヴュー
 
 『コーカサスの虜』『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』で各国の映画賞に輝いたロシアのセルゲイ・ドロフ監督最新作は、少女とクマとの一風変わったおとぎ話。
 シベリアで母グマを撃ち殺され、ひとりぼっちになった子グマ。そのクマと出合ったのは、サーカスの14歳のブランコ乗りの少女ローラ。彼女は子グマを引き取り、ミーシャと名付け可愛がる。ローラはサーカスに捨てられていた孤児だった。サーカスはロシアからスウェーデン、ドイツと移動していくが、育ての母カルメンが去り、父親代わりのマルコはサーカスをクビに。そんなある夜、ローラがオリをのぞいて見ると、そこにはミーシャの代わりに1人の青年がいた。夜になるとローラの前でだけ、ミーシャはクマから人間の姿になった。やがて2人は深く愛し合うようになる。しかしある日、ミーシャはローラを守ろうとして人を傷つけてしまう……。

 一言で言ってしまえば、「クマが夜になると青年になって、孤独な少女と愛しあう」という話だが、いかにも作り話めいたアメリカの子ども向け映画(最近では大人向けも幼稚だが)とは違い、おとぎ話でありながら(ファンタジーという言葉は使いたくない)、苦い大人の世界を交え、淡々と話は進行する。孤独な少女の心を優しく包み込める大人はこの世界には存在しない。ここでは大人はみな自分のことで精一杯で、ローラを理解しようなんて余裕のある人は1人も登場しない。少女は自力で自分の理解者を探さなくてはならない。そんな現実が目の前にあるのだがら、この童話もほろ苦いものになる。「クマが人になる」という伝承は、監督の故郷のシベリア東部では、よく知られた民話らしい。
★★★(前原利行)
 

 
■関連情報
 
 クマが姿を変えた青年を演じたセルゲイ・ポドロフJr.は、本作品の監督の実の息子。しかしこの作品に出演後の2002年9月、北オセチア共和国の山岳地帯で雪崩に巻き込まれ亡くなった。
 
■映画の背景
 
・主人公がサーカスの一員であることから、映画の舞台はシベリアの森林からロシア(サンクト・ペテルスブルグ)、スウェーデン、ドイツ(ハンブルグ)、スペインとヨーロッパ内をまわる。今までのどんよりした雲が覆う天気から一転し、乾燥した大地が続くスペインのセクションが印象的。イスラム風の建造物が目立つ小高い丘にある小さな町、エンドクレジットによれば、ヘレス・デ・ラ・フロンテーラJerez de la Fronteraのようだが、未確認。ロマの人々も多く住んでおり、アンダルシアのどこかなのだろう。最初と最後に出てくるシベリアの森林とは対照的。
 

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