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■アマロ神父の罪/El Crimen del Padre Amaro

2002年/メキシコ

監督:カルロス・カレラ
出演:ガエル・ガルシア・ベルナル (『アモーレス・ペロス』『天国の口、終わりの楽園。』)
   アナ・クラウデイア・タランコン
配給:ソニーピクチャーズエンタテイメント ソニーピクチャーズワールドシネマ
上映時間:118分
公開:10月銀座テアトルシネマにてレイトショーほか、全国順次公開

アカデミー賞外国語映画賞ノミネート、メキシコ・アカデミー賞(「アリエル賞」)作品賞ほか主要9部門を独占
 
■ストーリー
 

 メキシコ・アルダマ地方に赴任して来た若く誠実な神父アマロは、村人達に暖かく迎えられる。その中にいた敬虔な美少女アメリアは一目で神父を気に入り、二人は接近していく。神への献身を誓いながらも、二人は禁じられた一線を超え、抑えられない愛欲に溺れていく。しかし、アマロは聖職者として教会の地位にこだわる野心もあり、やがてある決断を迫られることになる・・・・。メキシコのカトリック教会の内情を暴露しつつ、神への信仰と人間の本質を見据えた骨太な社会派作品になっている。

 
■レヴュー
 
 さて、アマロ神父役のガエル・ガルシア・ベルナルが前作『天国の口、終わりの楽園。』(★★★★)で性衝動を押さえきれない奔放な少年を好演していたのは記憶の新しいところ。僕にはこの『アマロ神父の罪』が、あの映画の続編に思えてならない。<終わりの楽園>を覗いてしまった無垢な少年が、数年後、神に献身する道を選んでも不思議ではないだろう、と想像したのだ。
そんな彼だから、美少女の誘惑に負けて『姦通』という罪を犯しても、人間としてすごく自然なことに思える。そして、彼の周りの神父連中も、裏では愛人を囲ったり、マフィアと癒着していたり、ゲリラ活動に参加いていたり、教会の権力をふりかざしてマスコミに圧力をかけたり・・・と、聖職者としてあるまじき行為をしているのだけれど、村人からはとても信頼され、愛されており、わりと魅力的な人間たちに写る。
 監督のカルロス・カレラはこれでもか!これでもか!と僕らの薄っぺらい道徳観、心のグレーゾーンに挑戦状をたたきつける。『これでも君は、彼らのことを非難できるかい?!』
 最も印象的だったのは、半ば神から見捨てられてしまったような、口のきけない、体の不自由な女性の横たわる部屋の隣で、 アマロ神父と美少女が人目を忍んで愛欲をむさぼりあうシーンだ。背徳的であるがゆえに、とても淫らで、エロティックなのだ。もはや、言うまでもなく、僕らもアマロ神父と同罪なのだ。
 その後、アマロ神父はタガが外れたように次々と罪を重ねて行く。そして、意外なラストへ・・・。
 一体、神は存在するのか、しないのか??衝撃的な結末が待っている。(★★★カネコマサアキ)

    

 本作では、カトリック教会の腐敗を告発することがタブーとして描かれているが、こうした映画の公開が可能なのは、表現の自由うんぬんというより、教会の権威の現状を表しているようにも見える。ただ逆に、本国での記録的な大ヒットは教会が依然としてある種の権威だからこそなのだろう。教会の腐敗と神父の恋が交互に鮮やかに描かれ、どんどん引き込まれていく。ただ、終り方が吹っ切れないような気がする。(★★★☆今野) 

 
■関連情報
 
 原作は19世紀後半に発表されたポルトガル人作家エッサ・ロドリゲスの代表作。

 agnosticという英単語がある。<不可知論者>と言う意味で、神が存在するのかどうかなんて分らない、いるかもしれないし、いないかもしれない、という立場をとる人たちのことを指す。一方、良く使われる<無神論者>はatheist。実はこれは神なんか絶対に存在しない!と積極的に否定する人たちのことを指すそうだ。大半の日本人は前者にあたるのではないだろうか?言葉の使い方次第では大きな誤解が生まれてしまうので、旅先での会話には注意したいところ。(カネコマサアキ)

 2002年7月、教皇ヨハネ・パウロ二世はメキシコを訪問し、大統領から庶民までの熱烈な歓迎を受けた(ベッカム来日以上!)。本国での公開は、これに配慮して、その翌8月に延期されたが、封切り後、カトリック教会側からは「不適切だ」と反発されながら、公開20日間で約14億3千万円と興収記録を塗り替えた。

 冒頭に見られるようなバス・ジャックには、メキシコ・シティでのタクシー強盗同様、メキシコを旅する旅行者が実際にいつ巻き込まれてもおかしくないような状況です。

 カトリック教会の腐敗やスキャンダルということでは、それこそ古くは教科書に載っているような中世の時代から、近年ではアメリカ各地で神父による子供達に対する性的虐待が相次いで報道されている。
 メキシコを始め、中南米の各国では、スペイン人の侵攻以来、カトリックが国教となり、絶大な支持を受けている。どの町の中心にも広場に面して教会があり、訪れると先住民の人たちまでが熱心にお祈りする姿が見られる。キリスト教に限らず、主な宗教は政治に利用され、また利用してきた歴史を持つ。コロンブスにしても、キリスト教の布教を名目に資金を手に入れたわけだが、大陸を渡った彼らのしてきたことを振り返り、教会が中南米各国で果たしてきた役割を考えると、そこには本作に描かれているような大きな矛盾が初めからあったということができる。(今野)
 
■DVD情報
 
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