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■ワン・デイ・イン・ヨーロッパ/One Day In Europe
 
2005年/ドイツ、スペイン

監督・脚本:ハネス・シュテーア
出演:ミーガン・ゲイ、ルドミラ・ツヴェートコヴァ、フロリアン・ルーカス

配給:ユナイテッド・エンタテインメント
公開:9月1日より池袋シネマ・ロサほかにてレイトショー
上映時間:95分
公式HP:www.ODIE.jp

ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ決勝戦の日、ヨーロッパ各地で起きた旅人の4つのエピソードを描くオムニバス

 
■ストーリー
エピソード1/サッカーのヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグの決勝戦がモスクワで行われようとしていた。その日、イギリスから仕事でモスクワに来たケイトは、タクシーから降りた途端に強盗に遭う。途方にくれた彼女を手助けしたのは、英語はまったく分からない老婦人。2人は被害届を出すために警察に行くが、警察には暴れたサポーターがいっぱい。おまけに署員もテレビを見たくてやる気がない…。

エピソード2/イスタンブールではドイツ人青年が、保険金欲しさに強盗に襲われて荷物を盗られたと狂言を計ろうとする。しかしおせっかいなタクシー運転手が世話を焼き、なかなか警察に連れて行ってくれない。警察に着いたら着いたで怪しまれ、なかなか書類も発行してもらえない。

エピソード3/サンティアゴ・デ・コンポステラへ巡礼にやってきたハンガリー人ガボア。各地で撮ってきた思い出を収めたカメラを盗まれ、近くにいた警官に訴えるが、何かと後回しにされてしまう。

エピソード4/ベルリンにやってきたフランス人芸人カップルがお金に困り、やはり保険金狙いの狂言を計画。ガイド本片手にベルリンの危険地帯を探そうとするが、治安のいいところばかり。

■レヴュー
 
ヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグ決勝戦の日に、モスクワ、イスタンブール、サンティアゴ・デ・コンポステラ、ベルリンの4都市で起きた4つのエピソード。どのエピソードにも共通するのは、主人公たちがすべて外国人旅行者で、旅先で盗難に遭うか、盗難に遭ったと狂言をするかのどちらかだ。

確かにヨーロッパはスリも強盗も多い。海外で強盗に遭った日本人観光客のうちの半数が、ヨーロッパでのものだったという統計もある(ヨーロッパをサッカーと盗難で象徴させてしまうのも何だが…)。意外にサッカーのほうはあまり物語に絡んでこず、各エピソードの主人公たちも興味を持っていない(もっと差し迫った問題に直面しているせいもあるが…)。警官たちが観戦に夢中で、あまりやる気がないというのが、設定に生かされている程度だ。

さて映画自体はコメディだが、アメリカ映画のように大笑いするという感じではなく、「コメディのような雰囲気に包まれた」感じをさせてくれる程度の薄味。正直言って物足りないところもあるが、四カ国七言語が入り乱れるというヨーロッパらしさは、旅の気分を思い出させてくれる。という訳で、旅行人読者には棄てがたい小品だろう。(★★☆前原利行)

 
■映画の背景
 
本作で狂言を図るドイツ人青年は、旧市街のクンカプの高架下で強盗に遭ったと言い、警官に「あそこは観光客がいかない」と怪しまれる。2年程前、本誌編集長の蔵前さんとイスタンブールの町を歩いたことがあるが、その時にはエジプシャン・バザール近くで蔵前さんがカメラを盗まれた。その時一緒に歩いていた僕は、その瞬間は気がつかなかったが、その少し前に混雑の中でピッタリくっついてくる男がいたのには気づいていた。何となく不審に思い、僕は歩調を変えてやり過ごしたが、その後、5分ほどして蔵前さんがカメラがないことに気づいた。

現地でガイドをしているトルコ人の友人を呼び、三人で警察署へ行ったが、署員の態度は横柄で、なかなか盗難証明書を発行してくれない。こちらとしては犯人が捕まるかどうかは問題ではなく、証明書があれば保険金が下りるので、さっさと証明書を出て欲しいだけだったが、警察としてはそうはいかないようだ。本作のように、その時の状況、犯人の人相などを細かく言わせさせられる。当然ながらいつ盗まれたかはわからない蔵前さんなので、僕が見かけた男(彼が犯人だと限らないし、また現場を見たわけでもない)の特徴をとりあえず言う。「いつのまにか盗られた」では、証明書を出してくれないのだ。やっとトルコ人の友人の助力もあり、盗難証明書を出してもらえたが、半日仕事になってしまった。やれやれと思ったが、この映画が撮影されたのはそのほぼ同時期。きっとこのドイツ人青年のような保険金詐欺が多く、僕らを疑っていたのだろう。そんなことが思い出された。

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