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■9<ナイン>〜9番目の奇妙な人形〜/9


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2009年/アメリカ

監督・原案:シェーン・アッカー
脚本:パメラ・ペトラー
出演(声):イライジャ・ウッド、ジョン・C・ライリー、ジェニファー・コネリー、クリストファー・プラマー

配給:ギャガ powered by ヒューマンシネマ
上映時間:80分
公開:5月8日(土)より新宿ピカデリー他全国ロードショー
公式HP:9.gaga.ne.jp

 
■ストーリー
 
 人類滅亡後の未来。古びた研究室の片隅で、麻布を縫い合わせて作られた奇妙な人形が目を覚ました。腹部には大きなジッパー、背中には数字の“9”が描かれている。自分は誰なのか、ここはどこなのか、彼にはわからない。恐る恐る外を見ると、見渡す限りの廃墟が広がっていた。外に出た“9”は、背中に“1”から“8”までの番号が付いた仲間と出会う。それは人類が滅びる直前に科学者によって命を吹き込まれた、9体の小さな布の人形たちだった。人類はなぜ滅びたのか。彼らは何のために作られたのか。その謎が次第に明らかになっていく。
 
■レヴュー
 
 2005年、アカデミー賞短編アニメーション賞にノミネートされた新人シェーン・アッカー監督の『9』。その11分の映像に惚れ込んだという、ティム・バートンらの製作で長編化されたのがこの作品である。登場する人形たちのデザインとストーリー・コンセプトはそのままに、人形のキャラクター設定や物語の背景を加え、奥行きと広がりのある物語が完成した。廃墟と化した地球で、小さな人形たちが、ビースト(機械獣)やモンスターと化した巨大な機械に立ち向かっていく姿がスペクタクルに描かれている。

 この作品の魅力は、なんと言ってもユニークな人形たちにある。麻布や帆布を縫い合わせ、様々な部品をつなぎ合わせたスクラップのキャラクターたちは、東欧のパペットアニメを思わせる。ちょっと奇妙な姿なのだが、カメラのレンズのような目をパチパチさせた表情がなんとも愛らしく、“1”から“9”までの個性あふれるキャラクターに愛着を感じてしまう。何より、それぞれの性格に合わせた人形のデザインとディテールへのこだわりは半端ではなく、アートなセンスにあふれていて見事である。

 そして、次にストーリー展開の面白さが目をひく。“9”は仲間と出会い、力を合わせて試練を乗り越え、仲間のために必死に戦っていくのだが、モンスター化した機械との戦闘シーンは、スペクタクル大作に劣らぬ程スリリング。その中で、なぜ人類は滅びたのが明らかになっていき、人形たちは「誰が何のために自分たちを作ったのか」という謎を追っていく。そのサスペンスに引っ張られながら、見ている側も人形たちと一緒にラストシーンへ行き着くのである。

 つぎはぎ人形たちのゆるさを裏切るように展開するダークなファンタジー。この物語が、もし人間を主人公に描かれていたら、冒険、仲間との友情や信頼などが盛り込まれた普通の作品になっていただろう。人間の愚かさに警鐘を鳴らすこのファンタジーは、人間はどうなっていくのか、私たちはどうすることがよいことなのか、そんな問いを投げかけてくる。それは映画の中で人形たちが抱えている疑問と同じなのだ。答えを求めて進む人形たちに、いつの間にか感情移入していると気づくのではないだろうか。緻密に完成された、あるいはリアルなキャラクターではない9体の人形たちにこそ、私たちは己を重ね合わせることができるのだと思う。人間は完璧な存在ではないが、希望を持っていたいと思っているのだから。

 “9”役には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズのイライジャ・ウッド。彼の落ち着いた声が、ナイーブだが直感力と静かな闘志でグループを引っ張るリーダー役にぴったりで、とてもいい。(★★★☆ 加賀美まき)

 
■関連情報
 
「9 オリジナルショートフィルム」が5月1日(土)より横浜のブリリア ショートショート シアターで上映される。
www.Brillia-SST.jp
 
■DVD情報
 
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