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■海角七号 君想う、国境の南/海角七号

今はない住所“海角七号”への届かなかった手紙
過去と現在、台湾と日本を結ぶラブストーリー

監督・脚本:ウェイ・ダーション
出演:ファン・イーチェン、田中千絵(『頭文字D THE MOVIE』)、中孝介、レイチェル・リャン

配給:ザジフィルムズ、マクザム
公開:12月26日よりシネスイッチ銀座にて
上映時間:130分
公式HP:www.kaikaku7.jp/

 
■ストーリー
 
ミュージシャンとして成功するという夢に破れ、台湾最南端に位置する故郷の恒春に戻った青年・阿嘉。郵便配達の仕事をしているうちに、今はない宛先「海角七号」宛の小包を見つける。中には手紙が入っていたが、阿嘉には日本語が読めなかった。一方、同じ町では、売れない日本モデルの友子が、写真撮影のアシスタントで働いていた。中国語が話せる友子は、撮影終了後もこの恒春で行われる日本人歌手・中孝介の前座バンドのケア役として、引き続きとどまることになる。前座バンドのオーディションで選ばれた地元の即席メンバーは、阿嘉のほかは小学生から老人までさまざまな上、トラブル続き。面倒を見る役の友子も、そのいい加減さにキレてしまう。果たしてバンドは、うまくまとまるのだろうか。そして手紙の行方は…。
 
■レヴュー
 
台湾で公開されるや大ヒット。台湾映画としては史上ナンバーワン、外国映画を含めても『タイタニック』に次ぐ、歴代二位の記録を打ち立てたという大ヒット作が本作だ。有名な監督や俳優が関わっていないにもかかわらず、その良さが口コミで伝わり、1週目よりは2週目、2週目よりは3週目と次第に動員数を延ばしていった。

舞台は現代だが、「届かない手紙」を使い、日本統治時代の台湾とクロスオーバーさせることによって、「台湾人と日本人の報われなかった愛」の今と昔を交錯させる造りになっている。終戦と共に恋仲の台湾人女性と別れ、本土へと戻っていった日本人男性。その出せなかった手紙を、男性の死後に見つけた家族が送る。現代では、仕事で挫折した台湾人青年と日本人女性が、最初は反発しながらも次第に恋に落ちていくストーリーが展開する。

舞台を都会ではなく、田舎町に設定することにより、町の人がみな顔見知り的な「人情喜劇」的な要素が盛り込まれている。主人公の青年の面倒を見る町議会の議長は、ヤクザまがいなところもあるが、どこか憎めない。次々に集まってくるバンドメンバーは、台湾社会のいろいろな層を代表しているかのようだ。頑固者で民族楽器の達人のおじいさん、現代っ子の小学生の少女、原住民であるバイワン族の親子、客家人の営業マン…。事情を知っていると、彼らのやり取りがより楽しめるのだろう。こうしたサイドストーリーが、とてもたのしいものになっている。

ストーリーの結末は予想を裏切らないものだ。寄せ集めバンドは結束を固め、ライブを成功させる。主人公たちは愛を実らせ、手紙は「海角七号」に届く。しかし、それ以外の結末は、この物語には考えられないだろうし、誰も望まないだろう。(★★★前原利行)

 
■関連情報
 
・映画のクライマックスとなるビーチでのライブに出演する歌手は、中孝介。彼自身の役として、歌も演技も披露している。奄美大島出身でその独特の歌唱は高く評価され、台湾でもヒットチャートで一位を獲得したこともある。
 
■DVD情報
 
海角七号/君想う、国境の南 [DVD]
マクザム (2010-06-25)
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