監督:ジュリー・デルピー(『ビフォア・サンセット』) 配給:アルバトロス・フィルム 確かに、彼氏の神経質ぶりは、ウッディ・アレンの映画を思わせるかもしれないが、むしろ親近感を覚えるのは、同世代を思わせるようなスノッブなセリフの数々。ナン・ゴールディンやダイアン・アーバスの話が出たかと思えば、太った飼い猫の名前がジャン=リュックだったり(ジュリー・デルピーは『ゴダールの探偵』がデビュー作)、開けっぴろげな彼女の両親(なんとデルピーの実の両親が出演)は彼氏の知性を試すために、作家の名前の中に、オーギュスト・ルノワール(画家)の名前を紛れ込ませたりする。また、彼氏のジャックが深夜にパソコンで観ているDVDがなぜかフリッツ・ラングの『M』だったり、(ラングはユダヤ系ドイツ人で、この『M』を撮った後パリに亡命し、その後アメリカに渡ったのだった)そういえば、ビル・アケム橋でベルトルッチの『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の物まねごっこをするシーンもあった。 この映画のもう一つの側面は、彼氏のアメリカン・グローバル・スタンダードと彼女のフランス・ローカルのカルチャーギャップを描いているところ。これは今世界を歪めつつある(もうこの言葉には飽きたと思うけど)グローバリゼイションへの痛烈な風刺にもなっていて、笑いに妙な深みを与えている。多分日本人の多くは両方の考え方に共感を呼ぶはず。物語の後半には、フィリピンでNGO活動と称して少女を買春していたという元カレや、ファーストフード店でテロを起こそうとするゲイも出て来たり、何やら笑ってばかりはいられない過激さを増して行く。 映画に出てくる数々のスポットは、有名な観光地ばかりではなく、普段着の、デルピー監督おすすめのパリが盛り込まれているという。これからパリを訪れる予定の人も、倦怠期のカップルにも、ぜひ参考どうぞ。 僕も、もう一度パリの石畳みを歩きたくなってきた。今宵は、ひさしぶりにデルピーの出ていたレオス・カラックスの映画でも見るとしますかね。(カネコマサアキ★★★☆)
■パリ、恋人たちの2日間/2Days in Paris

2007年/フランス
出演:ジュリー・デルピー(『汚れた血』『トリコロール/白の愛』『ブロークン・フラワーズ』)、アダム・ゴールドバーグ(『ビューティフル・マインド』)、ダニエル・ブリュール(『ベルリン、僕らの革命』)
上映時間:101分
公開:5月24日、恵比寿ガーデンシネマ、新宿ガーデンシネマ他でロードショー
■ストーリー
フランス人フォトグラファーのマリオンとアメリカ人インテリアデザイナーのジャックは、ニューヨーク在住の仲の良いカップル。ベネチア旅行の帰り、マリオンの生まれ故郷パリに2日間滞在することに。しかし,次々と露になってくるマリオンの過去に,神経質なジャックは次第にイライラと猜疑心を募らせていく。この旅行が二人の関係を危ういものに・・・。
■レヴュー
■関連事項
二人の訪れたスポットは、リヨン駅、ベールラシェーズ墓地、カタコンベ(地下墓地)、モンマルトルのサクレ・クール、ビル・アケム橋(映画では『ラスト・タンゴ・イン・パリ』の物まねごっこをする)、サンマルタン運河などなど。
(パンフレットに地図が付いていると思います)