史上最強のタイみやげ
やまだひろなが定価:本体価格1500円+税
(税込価格1575円)解説
旅行人の本
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購入方法
ワタシの座右の銘は「カネがないのは首がないのも同じ」という言葉だ。タニヤのカラオケバーの姉ちゃんで「ノーマネー、ノーハニー」とかほざいてる奴もいたが、実際、この街では人間の価値はどれだけカネを使うかによって決まる。そう、勘違いしちゃいけない、持ってるか、じゃない。どれだけ使うかだ。 やまだひろなが
●はじめに
日本人旅行者は、一般的にはそういう意味では「いいヒト」だ。
一歩、足を踏みいれると、わらわらと寄ってきて「シャチョ、シャチョ、シロクロショ、ヤスイヨ」などと勧誘に励むポン引きは歓楽街パッポンの名物だが、もちろんそんな奴の後をついてくとボラれること間違いナシの店に連れ込まれる。
あっという間に店中のオンナが寄ってきてコーラを飲みまくり、勘定は一万円を超してしまったり。が、舞台ではシロクロショーやってるし、膝の上では全裸のお姉さまが身をくねらせてるし、ボラれてもボラれたことにさえ気がつかない「いいヒト」も多い。ホントは数百円で遊べる店なのに。ここは物価の水準もモノの考え方も違う国なのだ。
ところで普通の旅行案内書にはトラベラーズ・チェックの使い方とか親切丁寧に解説してあることだろう。それはそれでいいのだが、なにせ一筋縄で行かないのが東南アジア。安くモノを買うにはそれなりの作法というのがある。
まずは、現金だ。
持っていくのは日本円。タイならどこの銀行でも両替できる。が、少しでも率良く両替したいならブラック・マーケットだ。伊勢丹の向かいの路地裏にはスーパーリッチ、インドラリージェントの向かいにはティニーなんてのがある。銀行レートよりわずかに高い。一パーセントくらいだけど。もちろんトラベラーズ・チェックなんて高級なモノは使えないが。
カードも普及しているから、使えないこともない。が、本当に安い買い物をしたいなら勧められない。ためしに値切り倒してからカードを出してみよう。イヤな顔をして「五パーセント増しにするわよ」とか言われてしまう。店では手数料をさっ引かれるのだ。そんなわけでチープな買い物やチープな宿にはカードは使えない、これ、アジアの常識。
かくしてバーツを現金で持てば、ショッピングで怖いものは何もない。腹巻きに入れたり、小型のポシェットに入れて首から提げたりする人も多いようだが、まあバンコクだったらそこまでやらなくても大丈夫だろう。かっぱらいの類はあまり聞かないし。そうそう満員バスにはスリが出る。でも観光客相手ではない。
どれぐらい持っていれば恥ずかしくないか。ま、若い女の子だったら五〇〇バーツが一枚か二枚で大威張り、夜遊びしようっていう放蕩オヤジだったら「一万バーツ持ってりゃ、どこで何があっても平気だね」という噂。つまり、高級飲み屋の娘がやっとウンと言ってくれて、一世一代の散財をするとしても、だ。
それより注意しなくちゃいけないのは、どの店も釣り銭を用意してない、という事実だ。買い物ならまわりの店から釣り銭かき集めてくれるが、タクシーも例外ではない。つい余分なチップを支払うハメになるので要注意。
東南アジアで現地民を奴隷のように搾取して、ひとり富をむさぼる華僑……というイメージが強い中国系住民だが、実は派手好きで博打好き、カネ遣いも荒いから「いいヒト」でもある。この国の基準では。
高級レストランで誕生パーティーやる小学生とか、公務員の千年分の給料つぎこんでフェラーリ買う馬鹿とか、性悪女にひっかかって全財産まきあげられるオヤジとかいるから、こんなに貧富の差の激しい国がやっていけるので、カネはあまり貯め込むと腐るぞ。
というわけで、外国としては比較的治安も悪くなく、タイシルク、宝石から安物のガラクタに至るまで多種多様な土産物のそろったタイ、この本の読者にもぜひ「いいヒト」になって散財して貰いたいものである。