アジア雑語林(11)〜(20) |
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アジア雑語林(20) 2003年4月17日
文化入浴学試論 2
中国の銭湯映画とは、「こころの湯」という作品である。1999年の作品で、テレビ番組「大地の子」に出演した朱旭の主演ということで、日本でもそこそこ
話題になった。映画そのものの紹介はしないが、北京の銭湯がどうなっているのか映像でわかるのがありがたい。浴室中央に日本の銭湯と同じような広い浴槽が
ある。日本なら壁に水道の蛇口があって、そこが洗い場になるのだが、映画に登場する銭湯では壁にシャワーがついている。体はシャワーで洗うということだ。
マッサージを受けることができるという点を除くと、客がお茶を飲んでくつろいだり、新聞を読んだり、ゲームをしたりというあたりは、落語に出てくる昔の銭
湯に似ている。映画では地元の老人たちの憩いの場という感じだ。その雰囲気は、風呂という要素を別にすれば、老人たちが水パイプでタバコを吸っているアラ
ブの喫茶店にも似ている。 |
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アジア雑語林(19) 2003年4月3日 文化入浴学 1
中国の公衆便所の報告というのは数多くあるけれど、風呂の話はよくわからない。私は中国
には行ったことがないし、中国の文化にとくに興味を持っているというわけでもないので、資料を積極的に読むこともしていない。ただし、どこに住んでいよう
と人間の生活には興味があるから、衣食住といった基本的な生活習慣について知りたいことはいくらでもある。 |
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アジア雑語林(18) 2003年3月17日
大差なし 数年前のことだ。
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アジア雑語林(17) 2003年3月1日 旅行記と滞在記 ポルトガル旅行に際して、ポルトガル関係書を何冊か読んだ。イギリスやフランスに比べれ
ば、ポルトガルの本は少ないから現在入手できる本は一応チェックした。そのなかでベストと呼べるおもしろさだったのが、『ポルトガル便り』(植田麻美子、
彩流社、1995年)だった。大学院生時代の留学記で、著者は学部時代にも留学の経験がある。だから、昨今の旅行記や留学記にありがちな、「なにも知らな
い若者が旅したハチャメチャ爆笑旅行記」でもないし、学者が書くポルトガル歴史随想でもない。誰が読んでも理解できる内容でありながら、背後に教養の積み
重ねが感じられる。日本に住む友人・知人・恩師への手紙と書き下ろしの文章で構成した本は、楽屋落ちばかりの失敗作になる可能性もあるが、うまくできると
その地域の知識がない者でもわかる入門書として成功する。この本は、もちろん後者である。 |
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アジア雑語林(16) 2003年2月17日
英語の本
ポルトガルの本屋に、ポルトガル語の本ばかりあるのは当然なのだが、それが当然だと感じなかったのは、東南アジアの書店事情に慣れてしまっているからだ。
ラオスを除けば、程度の差はあれどの国でも英語の本が手に入る。イギリスやアメリカの植民地だったマレーシア、シンガポール、ビルマ、そしてフィリピンは
当然としても、ベトナムでもインドネシアでも、多少なりとも英語による現地資料が手に入る。 |
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アジア雑語林(15) 2003年2月7日
リスボンの書店で
ポルトガルをしばらく旅してきた。いちおう北から南に旅したが、もっとも長く滞在したのはリスボンだった。この街で印象深かったことのひとつは、書店が多
いということだ。人口が60万か70万という小さな街(アジアの感覚でいえば、ヨーロッパの街はいずれも小さい)なのに、新刊書店も古本屋もかなり見つけ
た。本屋を見つけると素通りできないタチだから、散歩の途中いつも寄り道してしまうのだが、結局一冊も買わなかった。欲しかったのは、ポルトガルに関する
英語の本なのだが、英語の本そのものがほとんどなかった。わずかにあるのは、ロンリ−プラネットなどの旅行ガイドブックや、ペンギンブックスなどの英文学
くらいだった。古本屋に行けばもう少し英語の本はあったが、読みたくもないペーパーバックなどだから、もちろん買わない。 |
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アジア雑語林(14) 2003年1月27日
1960〜70年代の旅の本 白陵社出版リスト
日本人が自由に海外旅行ができるようになるのは、1964年からだ。それまでは、基本的には公務か業務の渡航しか認められず、あとは留学と移民の渡航だっ
た。64年に制度上は海外旅行は自由になったけれど、まだ格安航空券などなく、船賃も高く、日本円の価値は低かったから、実際には金持ちしか海外旅行を楽
しめなかった。70年前後になって状況が変化するのは、シベリア経由でヨーロッパに安く行くルートが日本でも発売されたことと、ジャンボ機の導入によって
航空券に大幅な団体割引きが適用されたからだ。 1966『海外旅行と海外生活』(水野潤一) 1967『ヨーロッパ教養旅行』(水野潤一) 1968『続 ヨーロッパ教養旅行』(水野潤一) 1969『スチュワーデスの世界』(トルーデイ・ベイカー、レイチェル・ジョーンズ) 1970『四十カ国アルバイトヒッチ』(長坂是幸) 1971『世界の美術館』(貝原幸夫) 1972『アメリカ・バスの旅』(山本克彦) 1973『スイス教養旅行』(会津伸) |
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アジア雑語林(13) 2003年1月13日
ああ、ダーキー 2003年最初の電話は、タイのスリン県からだった。 |
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アジア雑語林(12) 2002年12月19日
『東南アジアの三輪車』をめぐる本 3
すずらん通りで買った『リキシャ追跡』の著者名を見て、驚いた。トニー・ウィーラーだ。ガイドブックを出版するロンリー・プラネット社の創業者であり、社
長である。この本の著者紹介を要約すれば、こんなふうに書いてある。「パキスタンで生まれ、バハマとアメリカで育つ。1972年のアジア大旅行をきっかけ
にガイドブックを出版するロンリー・プラネット社を設立。そのアジア旅行のときから、人力車や三輪自転車に興味をもっていた」。 |
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アジア雑語林(11) 2002年12月9日
『東南アジアの三輪車』をめぐる本 2
原稿はすぐに書き終えた。当時は手書きだったから、書き終えた原稿を段ボール箱に入れ、宅配便で旅行人編集部に送った。編集者であり、発行人であり、デザ
イナーでもある蔵前さんの尽力で、半年ほどかかって本になった。1999年のことだ。なにしろ原稿が手書きだから、コンピューターに打ち込むだけでもけっ
こう手間がかかるのである。
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